「自分が知りたい」から学ぶ。そうして得られた教養は、人生に豊かさと深みを与えてくれる。人類の誕生から現在までの歩みをふり返り、壮大な“知の探究”へと誘う。堺女子短期大学での講義をもとに書籍化。【「TRCMARC」の商品解説】近頃、書店には「教養」についての本が溢れている。だが、そもそも教養とは何か。なぜ教養が必要なのか。教養はいかにして身につけるものなのか――。
著者の水谷氏によると、1人の人間が生きていく上で必要な知識は2種類存在する。ひとつは実社会で生きていくために必要な知識。もうひとつは、1回きりの人生をより心豊かに、充実したものにしていくための知識だ。水谷氏は後者こそが教養だと説く。
学びの対象は文学作品、美術、音楽、哲学、宗教などの人文系に留まらず、理系の学問や知識にまで広がっている。「知っていないと恥ずかしい」から学ぶのではなく、「自分が知りたい」から学ぶ。そうして得られた教養は、私たちの人生に精神的な豊かさと深みを与えてくれ、一生続く報酬であり財産となる。
本書は読者をそうした?知の探究?に誘うための足掛かりを提供する。ヒトという種が現在のチンパンジーやボノボなどと共通の祖先から枝分かれした約700万年前から現在に至るまでの歩みを辿りながら、私たち人類が一体この地球に何を残してきたのか、何を考え、何を信じ、何をしてきたのかを振り返る。
壮大な旅を手助けしてくれるのは、古今東西の?知の巨人?たちだ。国内からは内藤湖南、津田左右吉にはじまり、梅棹忠夫、中村元、丸山真男、松田壽男、見田宗介、柄谷行人、山極寿一、斎藤幸平。海外からはJ・S・ミル、マルクス・エンゲルスにはじまり、カミュ、エリアーデ、チョムスキー、ジュリアン・ジェインズ、W・J・オング、ユヴァル・ノア・ハラリ……。彼らの著作のエッセンスに触れつつ、人類が生み出してきた?知の全体像?を俯瞰する。
短期大学で16年にわたり教養の講義を続けてきた筆者による「教養入門書」。
●目次
序章 知の巨人たちの求めたもの
〜立花隆、司馬遼太郎、井筒俊彦、松本清張らの知的遺産〜
第一章 人類の進化と心のルーツ
第二章 神話・宗教・文明の誕生
第三章 精神の革命――枢軸時代・哲学の発生
第四章 人類史の構造をとらえる試み
第五章 東アジア世界から見た日本の文化
第六章 東洋哲学の可能性――「無」と「空」と親鸞
第七章 現代史との対話――明治維新と戦後日本
第八章 人類史と二十一世紀の危機
第九章 人間性の回復へ――文学・芸術の役割